2年生を交えての、2回目のゼミでは、超伝導の現象論として、主に London と Ginzburg-Landau の理論を扱いました。
・現象論とは
根底にある原理からは導けない(事が多い)が、現象をよく説明する(簡潔な)モデルのこと。
超伝導における「現象」とは、
前回のゼミで紹介されたように、完全導電性、完全反磁性、同位体効果、エネルギーギャップの存在、等のことで、その他パラメータ等の実験値を説明する事も、現象論に期待される説明すべき事柄です。
ここでは数式は出しませんが、主要な式は
Wikipedia にも載っているので、参照してみるとよいでしょう。また今回のゼミの参考文献は
Wikipedia と、
INTRODUCTION TO SUPERCONDUCTIVITY です。
■London 方程式
London方程式は2式あり、それぞれ完全導電性と完全反磁性を表しています。つまり、抵抗力を受けずに電流が流れる事、磁束密度は超伝導体の奥にいくにしたがって指数関数的に減衰することを表します。
磁束密度の侵入深さ(penetration depth)λを導入しました。λの実験値は超伝導電子密度が全電子密度より少ない事を示唆しています。特定の条件を満たせば London 方程式は1つの式にまとめられることにも触れました。
・PIppard による拡張(nonlocal electrodynamics)
臨界温度以下のエネルギーに相当する電子が主に超伝導に寄与するだろうということと、位置と運動量の不確定性関係から、特徴的な長さのスケールが存在することを述べました。
Pippardは、ある点での物理量(電流など)が、その点以外の物理量(ベクトルポテンシャルなど)にも依存するように London 方程式を拡張しました。非局所性を取り入れたという事です。
・熱力学的臨界磁場
臨界温度あるいは臨界磁場以下で超伝導に転移するのは、その方が自由エネルギーが下がって安定になるからです。磁場が無い状況での、超伝導と常伝導のエネルギーの差を condensation energy と呼びます。試料に全く磁束が侵入していない状況を考えた時に、磁束を斥けるための energy と、condensation energy が、等しくなるような大きさの磁場が、熱力学的臨界磁場(あるいは単に臨界磁場)です。
磁場を0から強くしていくことを考えましょう。実際の実験の状況では、試料の表面にはある程度磁束が入るので、試料の形状にも依って、熱力学的臨界磁場より小さい磁場や大きい磁場で超伝導状態が壊れることが多々あります。前者の場合、第一種超伝導体では intermediate state(中間状態)という状態になり、試料の一部は常伝導、一部は超伝導というふうになります。
また、磁場をだんだん弱くしていく場合にも、熱力学的臨界磁場に達する前に超伝導核(超伝導になりはじめた部分)が形成されたり、熱力学的臨界磁場より下げてやっと超伝導に転移したりします。
■Ginzburg-Landau (GL) 理論
・複素数の秩序変数(order parameter)、擬波動関数 ψ というものを使って理論を記述。
絶対値の二乗が超伝導電子密度を表す。
・仮定した自由エネルギーを、ψとベクトルポテンシャルAに関して変分し、
Ginzburg-Landau 方程式を得る。
・GLの利点(London theory で扱えなかったこと)
超伝導電子密度を変化させる程強い場に対する非線形な応答や、空間的に変化する超伝導電子密度を扱える。
・GLが有効な条件
臨界温度に十分近い事 非局所性が重要でない事 ψやAの空間変化が急過ぎない事
・GL free energy
ψは小さく、空間的にも緩やかに変化すると仮定し、自由エネルギーの形を仮定しました。
・GL 方程式
前述のように変分し、二つの方程式を得ます。状況に応じて境界条件を設定し、必要によっては方程式を近似して、問題を解いていく事になります。
・coherence length ξ と GL parameter κ
ψの平衡値からのずれが、どれくらいの空間スケールで変化するかを表す量がξ、λとξの比(λ/ξ)がκです。常伝導の部分と超伝導の部分の境界を、domain wall といって、そこにはエネルギーがあります。κが小さいと、そのエネルギーは正であり、domain wall はあまり形成されませんが、κが大きいと、そのエネルギーは負であり、domain wall はたくさん形成されます。それが、第一種超伝導体と第二種超伝導体の違いです。
その境界はκ=1/√2 であることが計算によって分かっています。
・fluxoid の量子化
fluxoidという物理量を導入し、それが量子化されていることを述べました。
Bohr-Sommerfeld の量子化条件を使う方法、ψが一価関数(同じ場所では同じ値をとる)であることを使う方法の二通りで示し、積分経路をλより深い所にとることにより、超伝導体を貫く磁束(flux)が量子化されることをみました。